四国88ヶ所霊場のお遍路に必要なものをチェックしてみましょう。
まずは身に着けるものや持ち物についてのチェックです。
この記事に書いてあるコト
頭陀袋
頭陀袋とは遍路用語、仏教用語以外にも私たちの日常で(頻繁ではないですが)用いられる言葉です。
様々なものが沢山入るようなだぶだぶとした袋を言いますが、僧侶が修行の旅において、経文や食器などを入れ首から掛けている袋も頭陀袋といいます。
お遍路では納経帳や経本、念珠など参拝に必要な品をまとめて入れる袋のことをいいます。
山谷袋(さんやぶくろ)ともいいます。
昔ながらの太めのたすき掛けタイプのほか、現代的なリュックタイプも売られています。
特に歩いたり、自転車などでの巡礼では背負うタイプがいいでしょう。
いわゆる物を入れるバッグなので、持ち運びしやすい手持ちのリュックやバッグでもちろん構いません。
経本
遍路は88の寺院、各札所のご本尊様にお経を奉納して回るというものです。
中には全てを暗記していて、経本を見る必要はないという人も居るのでしょうが、基本的に経本を手に読経するのが正式なマナー。
巡礼の際には是非、携行して下さい。
旅の荷物はコンパクトであるにこしたことはありません。
市販の経本は価格の幅もあり、サイズにも色々ありますが、出来るだけ小さく軽いものがおすすめです。
また遍路用品を取り扱う店では数百円の手ごろなものが入手できます。
経本に書かれた般若心経は、約3200もの経典があるといわれる仏教経典の中でもっとも普及したものです。
一つ持っていれば88ヶ所巡礼時だけでなく、日常のどこかでお経に触れられる一冊にもなります。
納め札
札所でお参りをし、納経した証に奉納するお札です。
写経するのが正式なようですが、現在では巡拝年月日、住所、氏名、そして願い事を記すのが一般的です。
四国88ヶ所巡礼では、各札所巡拝のたび、本堂と大師堂それぞれに一枚ずつ納めます。
従って札所ごとに二枚必要となります。
また、巡礼者の名刺のような役割もあり、接待をしてくださった方に感謝の気持ちを込めてお札を納めます。
枚数を使うので、予め住所、氏名などは記しておくといいでしょう。
遍路の回数によって札の色を変えるという習慣もあります。
一回目から四回目は白、五~七回目が緑、八~二十四回目が赤、二十五回以上は銀、五十回以上で金、そして百回になると錦となります。
決して多い方が良い、というわけではありません。
納経帳
お経を納めた証のご朱印や墨書きを頂くための帳面です。
ともすると、訪れた証のスタンプ帳とも思いがちですが、重ね印といい、何回お参りをしても同じ一冊の納経帳にご朱印を頂く大切なものです。
墨や朱が写ってしまわないよう、またその一冊をずっと使うということもあり、しっかりとした紙と製本であるためお値段も高めですが、お遍路の必需品です。
手持ちの手帳やノートなど、規定以外のものには納経を頂けない場合もあります
経本などと同様、出来るだけコンパクトなサイズがおすすめです。
ご朱印や墨書きを掛け軸に頂く納経軸、白衣に頂く朱印用白衣もあります。
掛け軸は、後にきちんと表装すれば家宝の一つにもなります。
数珠
念珠ともいいます。
珠をひとつ繰るごとに仏様を念ずるということからそう呼ぶようになったもといいます。
百八の煩悩を除くため、数珠の珠は通常108個あります。
四国88ヶ所霊場は真言宗ですが、巡礼者の宗派は問いません。
従ってお手持ちの数珠を使うことができます。
お遍路のときには数々の身に付けるものや準備が要りますが、そのうち幾つかは省略も可能です。
しかし、省略することの出来ない、必ず必要なものもあります。
数珠はその一つ。
個人であろうが、団体ツアーであろうが、参拝のときには必ず手に持って向き合うことになります。
数珠を手にかけ拝む際、最初に右手は中指、左手は人差し指にかけ三回ほどすり合わせるのが正式とされています。
菅笠
現在では観光という捉え方もされるようになった四国お遍路。
巡礼の方法や手段では団体バスツアーによるものが70%を超えています。
次いで自家用車、タクシー、公共交通機関、そして歩きとなっています。
そんな公共機関に支えられた四国のお遍路です。
その中で、お遍路用品の一つである菅笠は、基本的に歩き遍路で必要なものとなっていますが、そのような公共機関で周るお遍路でもかなり役に立ちます。
強い日差しや雨風を凌ぐ道具として役立ちます。また、その笠を頭にかぶることでお遍路の雰囲気は高まります。
お遍路に使われる菅笠には・・・
- 「迷故三界城(=迷うが故に三界は城なり)」
- 「悟故十方空(=悟るが故に十方は空なり)」
- 「本来無東西(=本来東西は無く)」
- 「何処有南北(=何処んぞ南北あらんや)」
- 弘法大師を表す梵字、「同行二人」
・・・などの文字が書かれた笠がお遍路専用ですが無地のものもあります。
境内で脱がずにお参りすることが許されています。
輪袈裟
通常では聞き慣れない輪袈裟とは、いわゆる法衣の一つで、略して身軽、手軽に身に着けられるようにしたものです。
巡礼しやすいようにと、輪型で首から掛けるようになっています。
お手洗いや食事の際には取り外すのがマナー。
外したときは、下に直接置かず、上座や机上などに置きます。
存在感のあるタスキを首から下げているようになるため、歩きや自転車で巡礼する際には荷物や腕などとからむこともあり、比較的省略されることが多いようです。
その一方で、ツアーや自動車などで、様々なものを省略し、手軽に巡礼を行う人の中には、せめて輪袈裟だけはと装着する人もよく見かけます。
白衣
「びゃくえ」と呼び、袖の無いものを笈摺(おいずる)といいます。
巡礼者が着用する白装束です。
かつては巡礼といえば歩いて回るもの。
長い道のりを何ヵ月もかけて歩くうち、行き倒れになることを覚悟した人もいました。
いつ倒れてもいいよう死装束としてこの白衣を装着するようになったという説もあります。
また、仏前では皆平等、ということから皆が同じ白い装束を着用したという説もあります。
バスツアーなどで訪れる人の間ではあまり見かけなくなった白衣姿ですが、下に着る服で温度調節をしやすく、脱ぎ着もしやすいことから、袖なしタイプのものを利用する人は多いようです。
四国八十八ヶ所金剛杖
巡礼者が持つ木製の杖を金剛杖といいます。
空海の分身と考えられ、巡礼は大師様と二人である、という精神を持ち続けます。
従って、宿に入った際には真っ先に杖の先を洗い清め、上座や床の間に置くようにします。
「南無大師遍路照金剛」、「同行二人」などの文字が入っており、その箇所を直接手で触れないよう鈴の付いた金襴のカバーをするタイプが主流です。
歩き遍路では体の負担を軽減してくれる実用品でもあります。
街灯のない、暗い山道などを歩くことを考え、杖に蛍光テープを巻く人もいます。
また、携行して歩く際は、橋を渡るときにはついてはいけない、という決まり事があります。
まとめ
なんで金剛杖を橋の上でついてはいけないって知ってる?修行中、宿を得られず橋の下で一夜を過ごした空海が「寒さと旅人の杖の音で眠れず、一夜が十夜にも感じられた」という趣旨の和歌を残しているのよー
ボクもよく橋の下で昼寝してるけど・・・車の音も杖の音も・・なんも耳に入らないにゃー
いつもぐっすりにゃー
あんたのことは聞いてないの。
だから、橋の下には大師様がいらっしゃるかもしれない・・・そんな配慮から橋の上では杖をつかないのよ。