厳島神社は公式表記を嚴島神社とする、広島県の厳島(宮島)に鎮座する神社です。安芸の宮島として日本三景の一つとして数えられている、日本屈指の景勝地です。
社伝によると推古天皇元年(593年)の時代、地元の有力豪族である佐伯鞍職が社殿造営のご神託を受け、宗像三女神の一人である市杵島姫命を祀る社殿を創建したのが始まりです。
この記事に書いてあるコト
厳島神社の概要
厳島神社のイツクシマという名称も、イチキシマという女神の名称から来ているという説があります。
また、厳島は「いつく(=仕える)島」という語源という説もあり、この説においては島そのものが古代より神域として信仰の対象であったと考えられます。
事実、厳島の弥山は巨石が連なる神秘的な岩場となっており、山岳信仰の対象としては十分に考えられる場所となっています。
宮城県の松島・京都府の天橋立と並んで日本三景の一つ「安芸の宮島」として知られており、平成8年(1996年)にはユネスコ世界文化遺産に登録されました。
沿革や由緒
社伝以外の文献においては弘仁2年(811年)の記録が最も古く、平安中期に編纂された『延喜式神名帳』では「安芸国佐伯郡 伊都伎嶋神社」として挙げられており、当時は安芸国一宮として創建時からの宮司である佐伯氏が支配していました。
厳島神社といえば平家の棟梁である平清盛の寄進が有名ですが、これは平清盛が安芸守に任じられていたことも関係し、神主の佐伯氏と平清盛は強い結びつきを持っていました。
仁安3年(1168年)に平清盛により社殿が整えられ、平家の氏神様として崇敬されることとなりました。
平家の滅亡後も源氏など時の権力者と結びつきを深めて保護されてきました。
厳島はもともと禁足地でしたが、鎌倉時代末期ごろから神社関係者からだんだんと居住していくようになったと言われています。
戦国時代には弘治元年(1555年)の厳島の戦いで大勝した毛利元就の庇護下となり再び栄えてゆき、豊臣秀吉によって千畳閣の造営がされました。
その後、明治維新の神仏分離なども行われましたが、現在にいたるまで日本有数の神社として広く敬われ続けています。
ご祭神
宗像三女神
- 市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)
- 田心姫命(たごりひめのみこと)
- 湍津姫命(たぎつひめのみこと)
天照大神と素戔嗚尊の誓約で生まれた三女神であり、天孫降臨を行った瓊瓊杵尊を除くと、記紀に記載される「天から地に降りた神」は天孫降臨以前に降臨した宗像三女神のみという、大変格式の高い女神様です。
彼女たちを祀る総本社として有名な宗像大社が『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の構成資産』としてユネスコ世界遺産に登録されたのは平成29年(2017年)のことですが、その構成資産として女人規制の禁足地として注目が集まった沖ノ島もまた、市杵島姫命の祭られる島でした。
厳島もかつては禁足地だったことを考えると、同じ女神を祀る神域としての共通点を感じさせられますね。
かつては江島神社の弁財天のように、厳島弁財天も一緒に祀られていました。
現在は神仏分離令により大願寺に祀られています。
ご利益
- 水難加護
- 試験合格
- 家内安全
- 航海安全
- 交通安全
- 開運招来
厳島神社の見どころ
厳島神社の見どころをチェックしてみましょう。
大鳥居
木造の四脚鳥居で楠と杉の自然木を使って作られています。
現在の大鳥居は平安時代から数えて8代目にあたり、明治8年(1875年)に再建されたものです。
額は当時備え付けられたもので、有栖川宮熾仁親王の筆で描かれています。
根本は海中に置かれているだけで自重によって立っています。
木だけの重みでは浮いてしまうので、中に砂や石が5トン分ほど詰め込まれています。
棟の西側には三日月、東側には太陽の印があり、陰陽道からの影響だと言われています。
潮の満ち引きの調子によっては鹿が鳥居のそばを歩いたり、春には潮干狩りも楽しめたりと、パワースポットながらいろいろと楽しめる場所です。
高舞台
舞楽が行われる舞台で、現在も現役で・・・
- 陵王
- 振鉾
- 萬歳楽
- 延喜楽
- 太平楽
- 抜頭
・・・などの舞楽が奉納されています。
目の前に瀬戸内海に浮かぶ大鳥居が鮮やかに映えた見事な舞台です。
まさに神様に芸事を奉納する舞台と言えます。
豊国神社(千畳閣)
豊臣秀吉が千部経の供養をするために建立した神社で、現在は豊臣秀吉だけではなく、熊本城築城などで有名な加藤清正も一緒に祀られています。
豊臣秀吉は九州平定に行く途中の天正14年(1586年)に厳島神社を参拝していて、平家や源氏など由緒ある武家に崇敬されてきたこの神社を見て感激したと言われています。
千畳閣がどこか他の場所よりも見栄えが悪いのは、秀吉が寄進している途中で亡くなってしまったため未完となってしまっている為といわれています。
厳島神社のお守り・ご朱印について
オリジナル御朱印帳が用意されていて、もちろん御朱印をいただくこともできます。
厳島神社の御朱印以外にも、豊国神社の御朱印、大願寺の御朱印も用意されています。
また厳島神社から少し離れますが、宮島最古の寺院である大聖院も御朱印をいただけるパワースポットとして有名ですので、ぜひ余力があれば回れるといいですね。
お守りに関しては、宗像三女神の「導きの神」としてのパワーを存分にいただくことができる「交通安全祈願のお守り」がお勧めです。
特に水難からも守ってくれる力があるということで、海や水辺にまつわるお仕事をしている人へのプレゼントにする人もいます。
パワースポットとしての厳島神社
パワースポットとしての厳島神社をチェックしてみましょう。
多宝塔
神仏習合時代を色濃く残した塔で、パワースポットとして有名です。
厳島の合戦の折に陶晴賢が布陣した「勝山城跡」でもあり、陶晴賢はこの場所のエネルギーをもって毛利軍に対抗しようとしたという説を語るスピリチュアルカウンセラーもいるほど。
厳島神社の寝殿造のあでやかさに比べて地味なスポットですが、念願成就を祈願するために手を合わせに行くのがお勧めです。
厳島神社のアクセス
厳島神社にいくには、フェリーで宮島桟橋まで向かう必要があります。
フェリー乗り場はJR西日本「宮島口駅」もしくは広島電鉄「広電宮島口」が最寄りです。
まとめ
厳島神社は日本有数の有名神社であるだけに、修学旅行などで行ったことはあるけれど…という方も多いかもしれません。
平家や源氏、毛利元就や豊臣秀吉など、一時代を築いた様々な人々を導いてきた神様が祀られている神社ですので、ご利益をいただくために改めてご参拝してみるのもよいかもしれませんよ。
ぜひ紅葉の季節などに検討してみてください。